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新参者
東野圭吾『新参者』は推理小説。新たに日本橋警察署に赴任した刑事の加賀が主人公。町にとって新参者という意味である。視点人物は加賀に接した人々が交代で担当し、彼らの視点から加賀が語られる。
ワンルームマンションで起きた女性の殺人事件がテーマであるが、物語はオムニバス的に進む。序盤は殺人事件よりも聞き込み先の人間関係が織り成す人情ドラマになっている。警察の捜査が事件と無関係な秘密に触れることがある。現実の警察は自分達の手柄が第一で、引っ掻き回すだけ引っ掻き回し、人間関係を破壊して知らないとなりがちである。ところが、加賀は人間関係の修復に動く。
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【2019/03/19 08:00 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
摂食障害
摂食障害は食事の問題ではなく、心の問題である。心の行き詰まりを食事しないことなどにすり替えて誤魔化す病気である(2頁)。
この認識は重要だろう。食べる、食べないというところに注目しても解決にならない。心の問題に対応する必要がある。但し、根本は心の問題という主張は、かつての日本では逆に危険である。心の持ち方で何とでもなるという精神論根性論を正当化しかねないためである。
【2019/03/18 19:00 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
南方十字星
山本周五郎『南方十字星』は少年向け海洋冒険小説の短編集である。
節の末尾などの地の文が「彼らの運命は?」などの煽り文句で終わっていることが多い。漫画雑誌のような感覚である。漫画雑誌は担当編集者が枠外に書くが、本作品は本文に入っている。
「囮船第一号」は日本海軍の最新鋭の戦艦として豆戦艦が登場する。普段は漁船などにカモフラージュされる程度の規模であるが、戦闘機も一台格納されている。
第二次世界大戦の日本海軍は大艦巨砲主義に固執して敗北した。しかし、本作品からは機動力重視の発想が娯楽作品にも広まっていることが分かる。「アメリカあたりではまだせっせと巡洋戦艦を造るのに夢中だが、此方はひと足お先に逆手をいっているのさ」との台詞まである(95頁)。どうして大艦巨砲主義に陥ってしまったのだろうか。それとも少年向け娯楽作品だから機動力という新たな傾向に前向きで、軍上層部は古い考えのままなのだろうか。
【2019/03/17 23:37 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
センゴク3巻
センゴク3巻は六条合戦である。明智光秀は仕事ができるだけでなく、信長を笑わせることができる。
織田家では戦死者の右手小指を切断して遺族に持ち帰ったという。小指という一部であるが、遺体回収の発想は米軍に似ている。織田軍と米軍が強い所以だろう。
織田軍も米軍も合理的な組織であるが、合理主義は人間に冷たいことを意味しない。むしろ、身内に甘い処理をするような非合理を排除する合理主義の公正さの方が生きやすい。逆に日本型組織や家族経営を謳う方が特定人に甘い差別を正当化し、生き辛くなる。
【2019/03/14 18:56 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
センゴク天正記
仙石権兵衛は千石取りに出世した。捕えられた一敗残兵であったことからすれば破格である。千石取りになったが、家臣のリソースは領地経営に取られ、一人で従軍している。これから家臣を揃え、個人プレーから指揮官としての成長が描かれるのだろう。
織田信長は立ったまま面会する合理主義者である。無駄なコミュニケーションに時間をかけない。この合理主義はタイプは異なるが、後のセンゴク一統記で描かれる羽柴秀吉の奉行衆の仕事ぶりと重なる。秀吉は人たらしが信長にない美点とされるが、石田三成ら奉行衆の合理主義が支えて成り立つものである。
【2019/03/14 18:42 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
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