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スターリン秘史
#書評 #歴史 #社会主義 #読書
『スターリン秘史』はソビエト連邦の指導者スターリンの問題を明らかにする歴史書である。スターリンが地上の楽園を建設する指導者ではなく、恐怖の独裁者であったことは広く知られている。本書は、そのスターリンのマイナス像を一層深める書籍である。
スターリンは一時期ナチスドイツと不可侵条約を締結した。ナチスドイツと共にポーランドを分割した。日本とも中立条約を締結した。これは将来のファシズム陣営との決戦を見据えた一時的な方便との解釈がある。これに対して、本書はスターリンがファシズム陣営との世界分割を本気で考えていたと主張する。これは新鮮である。結果からすればヒトラーは滅び、スターリンは生き残った。故にスターリンはヒトラーの一枚も二枚も上手だったと考えたくなる。特に日本人はソ連が大戦末期に中立条約を破って攻めこまれた経験があるために、ソ連のズルさ、卑怯さを考えたくなる。しかし、独ソ戦で大損害を受けたことを考えれば、スターリンが、それほど巧妙だったとは言い難い。スターリンがファシズム陣営との世界分割を本気で考えていたとの主張には説得力がある。
これを日本共産党委員長だった人物が主張していることは興味深い。ファシズム体制と共産主義体制を全体主義体制として同一視する見方は資本主義陣営の保守勢力から唱えられる傾向があるためである。この視点があるからこそ、第二次大戦後の冷たい戦争への突入が正当化される。そのような主張を著者のような人物が行うことは大変勇気ある行為である。
ファシズムと共産主義を同一視して共産主義を攻撃する立場への反論としてオーソドックスな手法は、ファシズムと共産主義は違う、共産主義には良いところがあるというものである。しかし、ソ連という実例を考えると、ソ連にも良いところがあるという主張は説得力に欠ける。資本主義を批判しようとする人々こそ、ソ連の問題点に向き合うべきだろう。
本書は、このスターリンの世界分割の野心にコミンテルンが利用され、コミンテルン所属の各国共産党が傀儡となったと指摘する。これも重要な指摘である。現代日本には愛国心などを強調する勢力が実はアメリカ従属を進めているという矛盾がある。この雇われ右翼の問題は有効な批判になるが、これは日本の左翼にも跳ね返る問題である。ソ連共産党や中国共産党の傀儡となった雇われ左翼がいたことも事実である。雇われ左翼の問題を無視して、雇われ右翼を批判するならばダブルスタンダードになる。雇われ左翼の問題と向き合うことは意味がある。
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【2015/07/24 17:51 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
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