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時鐘の翼
ルカ・マサーリ『時鐘の翼』はイタリアのSF小説である。タイムトラベルができるようになった未来。時間旅行会社ベル・エポックの陰謀によって歴史が改変され、第一次世界大戦は中央同盟国優位に進んでいた。
世界大戦のアクターとしてイタリアの評価は必ずしも高くない。第一次世界大戦では三国同盟の裏切り者であり、第二次世界対戦ではドイツの足を引っ張ったというイメージがある。酔っぱらったドイツ人が日本人に「今度はイタリア抜きでやろうぜ」と言ったという笑い話があるほどである。しかし、民衆の力でムッソリーニ政権を倒したイタリアはドイツや日本に対して誇っていい。その意味でイタリア人の活躍を描く本書は新鮮である。
タイムトラベル物は未来人とタイムトラベル自体を認識できない過去の人々のギャップが問題になることが多い。しかし、本書は二十世紀のヨーロッパ人が相手であり、未来についての飲み込みが早い。未来の技術も使いこなし、未来の世界でも大活躍する。
本書では改造飛行機の飛行テストで死亡事故が起きる。パイロット達は改造飛行機に問題があると考え、テストの中止を要求し、司令官に受け入れられる。要求を拒否したら、集団脱走されかねない勢いであったためである。実際の歴史でドイツ帝国を打倒したドイツ革命も無謀な攻撃命令に対する水兵の反乱がきっかけであった(キールの反乱)。兵士は上官の命令に従うだけの奴隷ではなく、自分でものを考える労働者である。無謀な特攻や玉砕を繰り返した日本軍とは異なる。日本でブラック企業が社会問題になることも理解できる。

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【2013/10/16 08:26 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
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