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林田力書評・ヴァイオリン職人
#新刊 #読書 #小説 #書籍
『ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密』はヴァイオリン職人ジャンニを主人公(探偵役)とした推理小説である。舞台は現代イタリアである。人生を楽しむ合間に仕事をするというイタリア人気質が溢れている作品である。といっても殺人事件捜査に携わる警察官が食事もとれないほど忙しいなど現実は押さえている。それでいてイタリア人気質を感じられるから素晴らしい。
本書は都会の都市開発への皮肉が濃厚である。「ミラノはすばらしいところだーというか、ミラノ人はいつもそう言っているーただし、誰も本気でそこに住みたいとは思っていない」316頁。
「ボローニャの都市乱開発もまだここまでは広がっていなかった」334頁
遭遇する事件はクラシック音楽の歴史にまつわるものであり、ジャンニのヴァイオリン職人としての蘊蓄が披露される。ジャンニは以下の事実を淡々と語るようにクラシックを神聖視していない。「誰もが飲んだりおしゃべりしたりに忙しく、半分も聴いてくれない」(313頁)という当時の社交場としての音楽会の実態が語られる。偉大な作曲家のモーツアルトやベートーベンを友人としたら気難しいとも評しており、ゲルマン的な真面目さとは一風変わった音楽の楽しさがある。
本書では社会の腐敗も、さりげなく書かれている。大学研究者の封建的な体質や警察官のルール無視である。これらは日本社会にも当てはまる。
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【2014/12/30 17:31 】 | 林田力wiki | 有り難いご意見(0)
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